がんのリハビリテーション研修会 修了 

2019年7月20日、21日の2日間かけて、

PT 2名 、OT 1名ががんのリハビリテーション研修会を受け、

修了いたしました。

がんリハビリテーションの概要、がんリハビリテーションの問題点、様々ながんに対する治療法、また、それらに対するリハビリテーションの講義を受け、模擬患者についてカンファレンスを行い、がんリハビリテーションや当院の役割について理解を深めることができた。

まず、がんリハビリテーションの概要において、現在、日本では、がん罹患者数は増加し続けており年間100万人を突破している。また、高齢化、医療の進歩により、多くのがんにおいて5年生存率は上昇傾向にあり、がん生存者数は500万人以上と予測されている。今後、毎年、数十万人が増加するとも予測されている。

がんに対する治療法として、手術療法、放射線療法、化学療法、緩和ケア、リハビリテーションなどがある。これらの治療により、完治するものもあれば、副作用により障害を生じるもの、合併症を生じるもの、障害を残すものもある。

手術・放射線療法では、開胸・開腹手術後の呼吸器合併症、骨軟部腫瘍による四肢欠損、その他、リンパ浮腫や関節拘縮、筋力低下などがある。

化学療法においては、末梢神経障害、筋肉痛や関節痛、食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢による低栄養、廃用症候群などがある。

これら障害に対してのリハビリテーション、また、緩和ケアにおけるリハビリテーションの役割は重要であり、2010年がん患者リハビリテーション料が新設された。

がん患者リハビリテーション料の対象患者として、入院中に所定の部位に手術を行われる者、または行なわれた者(別紙参照)とあり、急性期病院であれば、手術を実施するため対象となる患者も多い。しかし、退院後、外来患者はがんリハビリテーション料対象外であり、継続的なリハビリテーションを行うことは現制度においては困難である。また、急性期病院の在院日数短縮の影響もあり、高齢患者の在宅復帰状況や在宅復帰後の通院加療、またはその介護など、まだまだ課題は残るところである。

今回、模擬カンファレンスは、当院と他の急性期病院の2チーム合同で行った。

症例として、“食道がんに対し外科的手術施行、経腸栄養にてコントロールも下痢症状が続いている、バルーン留置、排便はトイレ誘導も間に合わないことが多い、肺炎も併発しているが、肺炎は軽快してきている、現在歩行器使用にて10m程歩行可能、自宅は一軒家、階段必須、寝室は2階、布団使用、本人の意欲は低い、介護者は妻、妻は現在の状況では受け入れは困難である”とのことであった。

急性期病院の回答は、1週間でトイレ自立、点滴で水分、栄養コントロールし、下痢症状の改善を図り、早期の経腸栄養離脱を目指し、3週間目には経口摂取へ移行できている状況で自宅退院、困難であれば、転院とのことであった。

この転院先が当院のように地域に密着し、継続してリハビリテーションを提供できる病院の役割であると考える。介護者の負担、不安もあり、本人の意欲も低い中、経口摂取へ移行できていたといても、その他、家屋環境の整備、介護者への栄養管理指導、介護方法指導が必要であり、症例の身体機能面も考慮し、安全に在宅生活を過ごすことができるようになるには、2ヶ月程の期間が必要ではないかと考えた。

当院であれば、退院後の通所リハビリ利用や訪問看護、訪問リハビリによるフォローも十分に行える環境があり、患者の身体機能向上、介護者の介護負担軽減を図ることが可能である。また、レスパイト入院の利用や日頃の診療でのフォローを行い、両者へ安心した在宅生活を送ることへのお手伝いが可能である。この一連の体制が介護者への安心となり、不安を軽減し在宅生活受け入れの理解へ繋がると考える。

今後、今回の研修内容を伝達し、各部署連携し、安心した在宅生活を過ごして頂けるよう取り組んでいきたいと考える。